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内容更新日:2002.10.18.
レイアウト更新日 : 2016.04.24.


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◆ Bw 3−シリーズ翼型の開発  

 近年、模型家達の間においても翼型に関する情報が多く流れるようになり、ひと頃の、模型飛行機を作るなら翼断面は何でもクラークYにしてしまうという風潮はなくなってきているようです。その反面、流行している翼型だということだけで安易に飛びついてしまう傾向もあるようで、その点、もう少し自分なりの見方を尊重してもいいのではないかという気もします。ある程度の翼型の知識を持つならば、自分の使いたい翼型は自分で作って用いてはどうでしょうか。世にある名の通った翼型だけが翼型ではないのです。私も翼型と付き合うようになって10年程になりますが、沢山の翼型を眺めて目を肥やした上で自分の翼型を作ってみるのも、どの程度翼型と仲良くなったかが自分で評価できて、なかなか楽しいものです。今までフリーハンドで描いたものを10種ほど作り、うち5種をラジコン・グライダーで試して3種を比較的良い翼型、あるいは目的を達し得るものとしてファイルされています。その中の一つはスパン2m、アスペクト比11のラダー・エレベータの2chラジコン・グライダーに用いていますが、コントロールに対する応答が非常に素直で性能もまあまあなので重宝しています。
 さて今回、新しいラジコン・グライダーを製作するに当たって翼型も自作しようと思い立ち、Bw 3−シリーズ翼の開発を試みました。その開発の過程とでき上ったものを、翼型自作の例としてここに紹介するものです。必ずしもこの例と同じ方法で作らねばいけないというのではなく、自分なりに要求を盛り込んで翼型を作ることができるものなんだな、という事を感じていただければ幸いです。


T.開発のいきさつ
(1) 翼型は、もっと自由に作れるのではないか、何も世にある翼型でなければ良い性能が得られるとは限らないのではないか、という疑問。
(2) 今までのフリーハンド翼型では、上面の成形ばかり気にしてキャンバーを軽視する傾向があった事への反省。
(3)
NACA 4/5桁系の肉厚曲線では、最大厚12%では適度の前縁半径となるが15%では大きくなりすぎる事への不満。(おそらくNACA 4/5桁系翼型が最大厚12%付近を狙って作られたものだからだろう。)
(4) NACA 4/5桁系の肉厚曲線では、翼の後半部がふくらみ過ぎているきらいがある。後半部のぜい肉をもう少し削りたいという希望。(NACA 6−シリーズ翼型や、中島の設計した戦闘機の胴体に、実現の例がある。)
(5) NACA 4桁系翼型では最大キャンバーが40%位置にある翼型が最も安定した感じを持っているが、キャンバー公式が最大キャンバー位置を境にして別になっており、翼型表面の不整を問うための曲率を検討する際にその悪影響が現れてくる。キャンバーのつなぎ目を作らない方が良い。
(6) 現時点において、マイコンを用いて翼型を作ることができる。しかしコンピュータは、膨大なデータを生み出せるが、データの氾濫によって人間が処理しきれなくなっては何の意味もない。特に公式を用いて数学的に作られた翼型はややもするとおかしな形をしたものが生まれるので、人間が経験の目と感によって良いものを選出してやる必要がある。データを多くしないようにコンピュータを用いて翼型を作る手法を模索したい。

U.主旨
@ 公式による翼型設計。
A 最大肉厚比15%で前縁半径2%程度。[T(3)への回答]
B 肉厚曲線は、後縁で曲率(y”)=0とする。[T(4)への回答]
C NACA a=0.3 のキャンバーを用いる。
 [ラジコン模型(単桁・桁前プランクを想定)に用いることを考えると、桁より後方は外皮のへこみ等で揚力発生上の不利が生じる。この部分には揚力は期待しないという考え方。/T(5)への回答]
D 最大肉厚比は15%のものだけにする。
 [前縁半径が最大肉厚比15%を想定していることから、他厚への変換は意味が薄い。]
E 肉厚曲線はNACA 4/5桁系の公式に準じ、最大肉厚位置は30/32.5/35%のものを検討する。
 [最大肉厚位置を後方へずらすことにより、前半部のぜい肉がどの程度取れるか、全体形がどう変化するかを見るためで、層流翼を狙うものではない。]
F NACA 4/5桁系にあったような後縁厚はつけない。
 [実際に使用する時は、どのみち修正が必要となる。]

V.開発の手順
1) 各条件を盛り込んで、公式を作る。
2) マイコン作業のためのプログラム作成。(旧NACA4桁系用プログラムを改造する。)
3) 仮ファイル作成。(ディスプレイ上に形状を描かせ、興味のある翼型についてのみ、仮の座標データ・ファイルを作成する。)
4) 形状データの描き出し。(データ・ファイルよりデータを取り出し、プロッタによって各翼型の外形と、必要に応じて曲率(y”)及び曲率半径( radius )のグラフを描き出す。)
5) 検討、選出。(外形をまず自分の目で判断し、曲率等のグラフを参考にしつつ、使用し得る翼型を選出し、正式に名を与えて正式ファイルに登録する。)