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内容更新日:2002.03.12.
レイアウト更新日:2016.04.24.
築窯日記  (1)
 

  1.準備期間

 2001年末、それまで生計を立てるために勤めていた養豚場をやめ、陶芸一本に絞る事を考え始める。養豚場の仕事をこのまま続けても将来が見えない事から、少しでも希望の持てる道を選択すべきという結論に達した。あらかじめどれだけの費用が必要かを割り出すために、バーナの新規購入と窯の再築の検討を開始する。
 窯は以前ここに住んで初代遠島焼を焼いた中野徳巳氏が築いたのであるが、放浪窯として受け継いで後、内部を仕切って容積を4割くらいにし、北海道斜里町のニットウバーナさんから中古で購入したノズル式灯油バーナ(小片鐵工製 OG-1 号 1.0 φ 、Max 4 l/h)+低圧ブロワ+コンプレッサと中野氏から借りたロータリーバーナ(Max 12 l/h)の二本で焼成していた。しかしノズルバーナがロータリーバーナの火力に負ける上にロータリーバーナ自体も古いためかエアが不足で、ノズルバーナの燃料Max(灯油タンクを規定の 1.5 m から 2 m に上げてMax値をアップ)エアをロータリーバーナの火力に負けないよう炎が吹き消えない限界一杯に出し、ロータリーバーナはエア最大で灯油はノズルバーナを負かさない限界一杯に出して焼いていた。即ち二本のバーナで出せる最大能力を引き出して、1280 〜 1300 ℃まで約 20 時間かかっている。 1100 ℃くらいまではわりとすんなり上がってくれるが、そこから先に 10 時間もかかる事(少しでも最大能力をずれると温度が下がってくる)、 SK10 を完倒しても焼き上がりを見ると灯油窯で焼いたと言えるほど焼き締まっていない事、後で計算してみると Max で 6 l/h 程度しか流れていない事などから、バーナの能力不足を切に感じていた。窯の再築、また、将来再度大きく作り直す事も考慮に入れて、思い切って能力の大きなバーナを選ぶ事にした。窯小屋の煙突の配置もからんで、モータを焼く心配のない(焼ける部分がない)炎の伸びも良い使い慣れた小片鐵工製のノズル式灯油バーナ OG-2 号 1.5 φ 、Max 8 l/h)× 2 本+低圧ブロワ( Y-4 型、最大燃油量 30 l/h )に決定、シームレスホースを含めて費用は>約三十万円と出た。
 なお、ノズルバーナは自然流下式とあったが、停電時の遮断機構と燃料の定圧送供給機構が欲しかった(灯油タンクを高い所に置くと、天井の狭い空間のためせいぜい 20 l タンクしか置けず、燃料切れを起こしてエア抜きに時間を費やす間に窯温度が下がってしまう失敗も何度かあった。)ので電磁ポンプを使うこととした。但し、一般的なピストン式の電磁ポンプの場合、ピストンの往復運動により供給燃料に脈動が起こり燃焼に不具合が生じるのではないかという心配があった。
 再築の窯は、煙突配置の制約のため「行って来い」の変形で 0.24 m 3 、耐火レンガ 280 枚使用。コンクリ土台を広げる必要があり、全体の費用は十万円程度と見た。
  2.再出発開始
 まず温度計を購入、バーナを発注した。2002年2月下旬、バーナ到着。中古はほとんど手に入らないという事で新品の購入となったが、何しろ「新品」です、ピカピカだぜ 写真に撮りたくなってしまいました。しかし喜んでいる暇はない。すぐに機械屋に持ち込み、電磁ポンプの交渉開始。新品の日本コントロール社製 VSC63 型が一個あったので、同等規格品をもう一個注文したところ同社製で古い型のVS-2GN 型が手に入った。エア用のホース、ジョイント、灯油用のストレーナ、ホース、ジョイント、電磁ポンプからバーナへの接続用の銅パイプ等を買い集めてようやく試運転にこぎ付けた。
 ここで第一の問題発生。 VS-2GN 型ポンプを付けたバーナは安定に燃焼したものの、 VSC63 型の方はピストンの往復サイクルが VS-2GN の 1/2 で圧力の脈動が大きく、エアとの混合が最適の時に炎が吹き消えてしまう。消えないように灯油量を増やせば真っ黒い煙を出して不完全燃焼。仕方なく新品の VSC63 を中古の VS-2GN に交換してもらったが、こんどはそのポンプを付けたバーナ、なぜか炎がだんだん小さくなる。灯油量を増やしてみても、しばらくするとやっぱりだんだん小さくなる。機械屋に相談すると、もう一つ VS-2G 型を出して来た。
 もう一つ、この電磁ポンプでは停電時は燃料を遮断できるが停電から回復した時に再び燃料がエアと共に吹き出す事になる。へたをすると窯内で爆発の危険もある。電磁弁が必要だが、電磁弁にも手動でリセットするものとリセット機構のないものがあるらしい。間違えて無駄金を使うよりも、リレーを使えばリセット回路くらいは自分で作れるのではないか。
  3.3月3日、バーナ能力試験実施。
 燃料給油は電磁ポンプを使わず、自然流下方式(落差約 1.2 m)とした。電磁ポンプはどのポンプを使っても、調整をしないのに給油量が少しずつ減る傾向が見られたためである。また、配管のシールドはきっちり施しているのにノズル周辺から油漏れが見られるのは、もともと自然流下式なのにポンプ圧をかけているためと思われた。
 その結果現在の窯で新バーナ二本最大にすると、今までのバーナと比べてかなりの火力アップになる事が判明した。今回は燃料の方が強かったので、エア最大に合わせて燃料を調整したが、ノズル先端の調整によってはエアをより多く出せるのではないかと思うので、燃料タンクを 2 m まで上げればもっと強い火力が得られる可能性はある。(およそ 10 l/h の消費であったが、二本で 16 l/h 流せるはず。)しかしこれだけの火力があれば、再築予定の窯でも充分使えると判断できる。
 中野徳巳氏築窯の窯。
 煙突は壁のすぐそば、バーナ口は右側。このため「いってこい」の窯は煙突を動かさなければ作れない。  左側の片流れ部分が窯の位置。
 新品のブロワ。木枠に据え付けられた形で運送されて来たので、そのまま使う事にした。  新品のノズルバーナ。
 新品の VS-2GN 電磁ポンプ。  新品の VSC63 と交換した中古の VS-2GN 電磁ポンプ。
 最大火力運転試験中。  最大火力で青い酸化炎が 20 cm 以上吹き出していた。(この画像では見えない。)
 プロパン窯で経験した事だが、酸素不足の炎で還元焼成すると強還元がかかるのは上部だけで、窯全体に均一な還元をかける事ができない。上部の穴から黄色い還元炎は出るが、下部からは出ない。おまけに一酸化中毒の危険がある。窯全体に強還元をかけるためには、ダンパを閉じぎみにして酸化炎を思い切り吹き込んで炎に包み込んでしまうのが正解のようだ。そのためにもこの、圧力のある酸化炎が欲しかった。

 

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