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内容更新日:2005.09.01.
レイアウト更新日 : 2016.04.24.


 個人的な意見 part-3

[6] バレーボールとは何か? (信頼関係の希薄さを嘆く)
 最近、バレーボールに疑問を持つ事が多くなってきた。バレーボールのはいったい何であろうか。突き詰めて行くと、そんな言葉になってしまう。

 20年も前、全国バレーボール行脚(?)の末に今の地に腰を下ろしたのであるが、そこでは「???」と思うようなバレーボールが行なわれていた。自分の目に一番異様に映ったのは、6人制バレーでありながらバックセンターがバックサイドより前に出てアタックレシーブする姿と、シートレシーブ練習でありながらレシーブで上がったボールをトスにまわさずツーで打ってしまう事であった。

 バックセンターがバックサイドより前に出て足長の強打に手を出せば、成功率が下がるうえに後方の選手は動けなくなるしカバーも難しくなって、結果としてチームのレシーブ力を削ぐ事になる。このシフト(バックセンターがブロック下に入ってフェイントを主に拾うシフトとは別物)は今だに当地では「正当化」されていて、シートレシーブ練習ではアタッカーの打点が低いのでバックサイドにボールが届かない(中央にいるバックセンターがみな手を出してしまう)という事からなのか、試合前練習でバックセンターを抜いて5人でシートレシーブをやっているチームも出て来た。全く現実から外れた練習になってしまっていると思うのだが…
 6人制バレーは9人制と違って、動き回らないと守備にならない。バックセンターが中央でレシーブすると、まわりの選手は動くに動けなくなる。「一番レシーブの良い選手を中央に置くのだ」と言っているようだが、ブロック1枚かノーブロックでまともに戦えるはずもない。

 一方、トス(つなぎ)のリズムを入れないシートレシーブ練習もほとんどそのままで、対人レシーブを6人でやっているだけでバレーのリズム・センスが全くない。最近、古くから付き合いのある別の地のママさんバレーにおじゃました時に「トスしないで直接打って下さい」(つなぎのリズムはいっさい入れない)と強要され、大変なショックを受けている。「拾う−つなぐ−攻める」、この3つのリズムを皆が協力し合って行なうのがバレーボールだったのではないか。打つ側の人が打ち、拾う側の人が拾うだけではなかったのではないか。9人制のママさんバレーは確かに細かいプレーが多い。6人制のシートレシーブ(もちろん「つなぎ」のリズムの入った)では大きなプレーが主になりやすいから、切り替えの早い9人制のバレーの練習をしたいというのもわかる。だからと言ってバレーのリズムの基本を壊した練習をしていては、どこか違うのではないかと私は思うのだが…

 それに関連して、近頃思う事がある。最近、ある付き合いがあってソフトバレーに選手として呼ばれるようになった。自分は皮バレーの世界では決して能力の高い人間ではないが、40・50代のソフトバレーチームの中では高い能力を買われて呼ばれている事は認識している。だからと言って、トスに回すべきボールも「打って下さい」と言われる事には違和感を感じる。(私自身も、おだてられて喜ぶ性格ではない。)時と場合によってはツー・アタックで打った方が良い場合もあるが、それは自チームのリズムが良く相手のリズムが崩れている場合であって、使い方を間違うと自チームのリズムを崩して相手にチャンスを与える諸刃の剣なのである。
 その事が認識されていないと感じる一方で、「できる人だけがもてはやされる」という時代背景もあるように思う。アタック能力の高い人はアタックをするために居るのであるからレシーブやトスはしなくて良い、上がったら打て、レシーブはレシーブ専門に任せろ… 昔はそうではなかった。どんなに能力の高いアタッカーでも、レシーブにおいては対等に仕事を担わされた。従って、器用とは言えない大型選手はレシーブ練習ではいつも怒られる存在だった。逆にエースが辛い時には能力の低い選手にも攻撃のチャンスを与えられた。その雰囲気があったからこそ、お互いに支え合い助け合うという信頼関係が生まれたのではなかろうか。
 打つ人は打てばいい、拾う人は拾えばいい、その中で「すごい」プレーが出ればチームは勝てる、そこからチームワークが生まれる… そのようなチームワークは同じコートに立っているという自己満足感であって、人間としての信頼関係が結ばれた結果ではない。

 バレーボールは「助け合うスポーツだ」と、生沼スミエさんはおっしゃられた。今のバレーボールの「助け合い」は、随分希薄なものになってしまった。しかも、その傾向はどんどん加速しているように思えてならない。

[7] チームプレーの中での”自分勝手”
 最近いろいろな所でバレーをやっていると、トスを上げる(つなぐ)べき場面でツーで打ってしまったり、《アタッカーが完全にトスが自分に上がると信じている瞬間というのは、試合の流れの中ではよくある事。この時にこう言うプレーをされると、アタッカーはセットアッパーを信じられなくなる。自分が決めなければという使命感に燃えているだけに、ガックリ来るものである。人の気持ちがわからないというか、中にはアタッカーがトスしなければならない場面でトスせずにツーで返して自らリズムを崩していく姿も見られる。アタッカーならアタッカーの気持ちがわかりそうなものなのだが…》ネットを挟んで特定の2人だけでパスアタックを応酬したり、単なる遊びの世界では許されても「チームプレー」の世界では「わがまま」として扱われる事が平然と行なわれているように見える。
 以前、テレビでバスケットの能代工業高校全国連覇の時の試合や練習の様子が放映されたことがあった。その時監督が中軸選手に言ったのは「自分の勝手な考えでチームを壊すな」という事であった。自分個人は良かれと思った判断でも、チーム全体としては悪い影響が出る場合がある。選手は一瞬一瞬の中で自分のこのプレーが全体にどう影響を及ぼすかを判断しなければならない。自分が決めてしまえば勝てるんだ、というプレーは許されないのである。これはバスケットばかりではない、チームスポーツ全てに言える。
 しかし最近のバレーボールの放送では、この事に触れることはほとんどない。チームワークとは何ぞやという事が次第に忘れられて来ているように思われてならない。

[8] 「リズム感」の重要性
 つなぎのリズムを入れないシートレシーブについては上に述べたが、ここでは別の面から考えてみたい。
 
 つい先ごろ、自分が教えている小学生チーム(男女混)でこういう事をやってみた。我がクラブは練習回数から言ってクラブというよりはバレー教室の意味合いが強く、試合を組んだことがなかった。ところがある所から練習試合の誘いが来たので、練習に目的を持たせるチャンスと捕らえて出ることになった。試合目標の練習は初めてでほとんどの子供達はチームプレーの実践を経験していないことから、自分達に何が欠けているかを考えさせるために、次のような試合を行った。
 相手は、指導者2人チーム。得点は15点マッチ。指導者チームは打たずにチャンスボールを返す。但し「裏の点数」を設け、表の点数とは別に後ろ向きに得点板を置いて「拾う−つなぐ−返す」の3つのリズムが1度完成するたびに1点を数えさせた。(完成率も出したかったが、そこまでしなくても結果は感知できるとして行わなかった。)セットが終わってから「なぜ勝てなかったのだろう」と裏の点数を開いて見せたのである。
 1セット目6年生は、表の点数15−0(裏の点数4−0)、指導者チームには4回ボールが入って来て4回ともきっちりボールをつないでいるのに対し、6年生チームは少なくとも15回ボールが来ているのに1回もつなげられなかった。2セット目5年生は15−2(7−3)、6年生は少々わがままで自分(達)のことしか考えないところがあるが5年生は「つなぐためには、次の人が受けやすいように丁寧なボールを送りなさい」という指示を一生懸命実行してこの結果になった。3セット目6年生は、15−0だったが裏に1点が入った。この1点は彼らの一生懸命さの賜物であり、彼らの心に何かしら残るものがあったのではないかと思う。
 
 ソフトバレーというのは9人制ママさんバレー同様、スケールの小さいちょこまかとしたプレーが多くなる傾向が強い。6人制バレーの経験者がほとんどいないせいもあろうが、ボールが軽くて大きいため皮バレーでは考えられないような不規則変化をするので高いパス・トスはコントロールがむずかしい事が大きな要因になっているようだ。しかし、小さなリズムだけでは自分達が乱れている時に立て直しがきかない。そんな時にツーの応酬をやろうものなら、根負けした方が点を取られるだけで「得点」を取ったのではないから、バレーをやっているという実感に乏しい。
 そこで、こういう提案をした。「自分達のリズムが崩れた時は、リズムを立て直すために高いトスを上げて大きく打つ。相手が崩れていて自分達に余裕がある時は、低めのトスで早く攻める。どっちも余裕がある時は、早い攻めか大きい攻めか、めりはりをつけて攻める。〜とにかく、技術うんぬんは別問題として、その使い分けをはっきりさせましょう。」
 ソフトバレーは4人制のため上手が3人でも4人相手に勝つのはむずかしく、大負けする事も珍しくないのであるが、3人でこれを実行してみたところ大負けしなくなり、頑張れば勝てる雰囲気になった。「リズムを立て直す」事を考えるようになって、ツーで返さずに3つのリズムを踏むようになった事も原因の1つと考えられる。
 
 
 チームプレーという事。リズムという事。昔のバレーの中にはあったはずのこれらの事を、今一度皆で考え直すべきではないだろうか。

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